2008年8月15日金曜日

Stanford MBA の大先輩から学ぶ(1) 有名なベンチャーキャピタリスト

スタンフォードMBAの大きなメリットの一つとして、在校生・卒業生の強いネットワークがあると思います。普通では絶対に会えない卒業生に会ってお話を伺えることがありますし、在校生の間にはお互いに助け合うカルチャーがあります(例えば、最近ゴルフを始めましたが、プロのレッスンよりも数々の友人からの指導の方が効果的です)。

本日は、シリコンバレーの有名なベンチャーキャピタリストのご自宅に伺い、貴重な指導を頂くことができました。特に印象に残ったのは以下の点です。

Q:数々のアントレプレナーをご覧になられていて、成功する人としない人の差を感じられることがあるのでしょうか。
A:「ブリンク」という表現があるのですが、意外と最初の数分の印象で投資の有無を決めてしまうことがあります。プレゼンテーションをさせて、その後廊下で仲間と話して結構決めてしまうことが多いのです。もちろん、その後のDDでちょんぼして失敗してしまうベンチャーもありますが。

Q:スタンフォードMBAの授業で役に立ったもの、あるいは、取っておけば良かったものはありますでしょうか。
A:今は昔と違いますが、リーダーシップを学校で教えられるかという実験をビジネススクールはしています。私は、リーダーシップはある程度学校でも教えられると思っている。また、海外に行く授業もあると思うので、インドか中国に行くと良いと思います。それから、シリコンバレーの人がするレクチャーは結構面白いと思います。例えば、昔は、IPOする前のアップルのスティーブジョブズが来て、皆でランチをする機会があり、学生が数人その後に就職していました。後は大体テクニカルな授業ですからね。

Q:良いアイディアを産み出す条件としては、何があると思われますか。例えば、Googleのようなアイディアが産まれてくる土台には何があるのでしょうか。
A:Googleも趣味でやっていたようなもので、そこから大量にハードディスクを購入してビジネスにしていった。サンマイクロシステムにからんだ男が「めんどくさいなぁ」と思いながらそれを見に行って投資をした後で、クライナーパーキンスとセコイアが「じゃー俺も」ということで投資をしたので成功したという面がある。ビジネス自体をみても誰も彼らの検索が大きなビジネスになるとは思っていなかったと思うので、興味があることをやっていったら、それが当たってしまった、という面が大きいと思う。以上のような意味では、運が左右する要素の方が大きいと思う。

Q:最初に参画された会社(注:当時はスタートアップで、現在は業界のリーダー)を選ばれた経緯を教えて頂けないでしょうか。
A:スタンフォードMBAの2年間、Bay Areaに住んでいて、こちらに住みたいと思った。私の興味のあるインダストリーで、Fortuneに載っている会社はBay Areaでは2社だった。その2社に手紙を出して、1社からだけ返事がきたので、そこに行った。

Q:インターンシップのご経験についても教えて頂けないでしょうか。
A:私は、当時、●社という従業員5、600人の会社で働いてみた。当時は「つぶれるのでは?」という噂もあったが、気にせず楽しく働いた。その後有名なベンチャーキャピタリストが入って立て直し、今では従業員5,6万人の超有名企業になった。

私の方は、ビジネススクールでの2年間を最大に活かしたいと考えて、「どうすれば成功するのか」という種の質問をたくさんしてしまいましたが、大先輩は「こうすれば、こうなる」とか「こうすれば成功する」というものは存在せず、興味のある方向に向かって一生懸命やってみるのが重要である、というメッセージを伝えたかったのではないかという感じています。

その他、私の興味のあるインダストリーの先行きは厳しく、その分野の専門知識があることが望ましいと言われたことが印象的でした。あまり現在のキャリアゴールに固執せず、せっかくのStanford MBAでの経験を柔軟に活かすことが重要であるという趣旨だと感じました。

2008年8月13日水曜日

法律豆知識(1) SNSの法的な保護の仕方

Facebook, LinkedIn, MixiなどSNSを利用するビジネスが流行り、MBAの世界でも、αリーダーズ、MBAの輪などの活躍が目覚しいところです。私の周りでも、SNSを利用して起業される人が急速に増えてきています。

ところで、このようなSNSに関する権利を法的に保護するには、どのようにすれば良いのでしょうか。

1. 所有権による保護(?)

パソコンなどの動産、土地などの不動産と異なり、SNSには形がありません。
このような場合、通常、所有権による保護を受けることはできません。いいかえるとSNSそのものの所有権は観念できないことになります。

2. 著作権による保護

そこで、SNSの場合には、通常は、著作権を保有することで法的な保護を受けていると思います。

SNSの制作プログラマーに原始的には著作権が帰属していますので、その著作権を契約上きちんと譲り受けられるかどうかが重要となります(制作者が従業員である場合には、契約による処理が必要でないこともあります。著作権法第15条)。

この場合、プログラマが自分以外の第三者に権利を勝手に譲渡してしまう(二重譲渡)ことによって発生しうるポテンシャルな損害を防ぐためには、著作権法77条による文部科学省への登録をするべきです。 これについては、以下のURL等を参考にしつつ、文部科学省に電話で相談すれば、結構自分でも登録できてしまうかもしれません。
https://shinsei.mext.go.jp/guide/cyosakuken_cyosakuken/84...

上記とは別に、訴訟になった場合の立証の便宜などのためにSOFTICという団体に登録をするケースもあるようです。
http://www.softic.or.jp/touroku/index.html

また、起業家が自分で制作したプログラムの著作権を、会社に帰属させる場合には、著作権を会社に出資するのか、譲り渡すのか、によって税務上の処理などが異なることになると思います(出資の場合には、資本取引として扱われて税務上は有利なことがあると思われます)。

さらに、以上について、例えば、オープンソースなどを利用してSNSのプログラムを制作している場合には、利用規約などの制約を受けます。
例:http://www.gnu.org/home.ja.html

3. ノウハウその他の知的財産権の保護

秘密保持契約の締結をしたり、ノウハウを秘密情報としてきちんと管理することで、契約上又は不正競争防止法上の法的な保護を受けられることになりますが、著作権のほうが本質的な保護ですので、詳細は別の機会に譲りたいと思います。

4. 利用規約の作成

以上に加えて権利を保護するには、利用規約を設けることが重要だと思います。

利用規約を自分で作成する場合には、既存の団体のネット上で公開されている利用規約を参考にすることになると思います。
例:http://mixi.jp/rules.pl

2008年8月10日日曜日

Stanford 流 英語学習法(2) 発音編(2) 資料集

前述のCarole Mawsonから、発音については、以下のサイトが良いと勧められました。

1. Online pronunciation course materials at http://www.accentschool.com/
2. Reduction, intonation & linkage: www.americanaccent.com
3. U. of Iowa animated sounds: www.uiowa.edu/%7Eacadtech/phonetics/#
4. Reduced forms: www.manythings.org/voa/wm/wm190.html
5. Try sound discrimination practice for pronunciation at www.manythings.org/pp
6. Overview of English sounds at http://www.fonetiks.org/
7. http://iteslj.org/links/ESL/Pronunciation
8. http://www.soundsofenglish.org

2008年8月2日土曜日

Stanford 流 英語学習法 (1) 発音編

1. Stanford EFSコース

Stanford MBAでは、外国人学生に対して、夏の間にStanford EFS(English For Foreign Student)という6週間の英語学習コースに通うことを推奨しています。

私も6月27日からStanford EFSに通っており、来週でコースを終了します。

選択科目のPronunciationコースでは、Stanfordで35年間発音を教えているハーバード卒のMawson Caroleから教えを受けました。

授業は非常にシステマティックであり、既存の教材を効率良く利用しているという印象です。
以下授業の詳細ですが、メソッドとしては、自宅でも勉強出来る内容であることがお分かりいただけると思います(しかし、その効果は劇的だという評判です)。

2. 発音クラスの詳細

15時15分頃:授業開始

Small Talk(テキスト)、Small Talk (CD)を全員で聞いて、全員で音読。

上記の教材は、Jazzの音楽に合わせて、英語の発音を勉強するメソッドを使用しており、音楽が印象的で頭に残るので、英語のリズムやイントネーションを効率良く勉強できます。

15時45分頃:

Clear Speech(CD付)を全員で聞いて、全員で音読。

上記の教材は、英語の発音の際の舌の位置、口の形、音と音のリンクの仕方、イントネーションなどについて、細かく説明してくれています。 自分が日本で受けてきた教育とかなり違うのに驚きました。音と音のリンクの仕方や発音の省略のルールを勉強することで、リスニング力も向上します。

16時30分頃:

手鏡を手に持ちながら、以下の教材を全員で聴講する。

Breaking the Accent Barrier
The Sound and Style of American English

この教材では、PHDの教授から、英語のイントネーションの付け方を理論的に学習すると共に、アメリカ人の舌の筋肉の使い方を勉強できます。

単に舌の形ということにとどまらず、自分の発音の『仕方』(筋肉の使い方)を根本的なところから変化することをせまられる内容でした。

17時頃:授業終了。生徒は、上記の教材又は以下の教材リストの中から、自分で自由に選択して、最低3時間の自宅学習をすることを求められる。

1)Audiotapes, CDs
Pronouncing American English
Well Said:Advanced English Pronunciation
Improving Spoken English
Improving Spoken English(Cassette tape)

2)DVDs
Perfect English Pronunciation(DVD)(すべての音の発音の仕方を学べます)
Pronunciation for Success(Student Course with 2 DVDs, Workbook, 3 CDs)

3)Computer Programs(CD-Roms)
All Clear!
Accent Coach
Better Accent Tutor
Pronunciation Power

4)Web site Resources
http://iteslj.org/links/ESL/Pronunciation(発音を勉強するための膨大な量のツールが紹介されています。)
http://www.soundsofenglish.org/(文章が多く、音声が悪いのが難点です。)

3. 発音の重要性

先日、こちらで外国人起業家・ビジネスマンに英語でのコミュニケーションを教えるビジネスを開始したシリコンバレーのアントレプレナー(CEO)のドイツ人(Stanford卒。5ヶ国語を自在に操る)と食事をしました。http://www.professional-business-communications.com/ 彼女は、「起業家が良いアイディアを持っていても、発音などアメリカ流のコミュニケーションが出来ていなくて失敗することが多いこと」「外国人が発音などアメリカ流のコミュニケーションが出来ないために就職できていないこと」に気がついて、このビジネスをはじめたそうです。私としても、発音は、ビジネスにおいて重要だと思っており、上記のメソッドで引続き勉強したいと思っています。