2017年11月13日月曜日

強い日本を取り戻して、世界を変えたい人、いませんか

何年か前にスタンフォードビジネススクールの出願者のためのインフォメーションセッション(東京)で、卒業生として話をする機会がありました。たまたま、来日していたためです。

そのときに、自分のキャリアについて話したところ、出願者から、「福島の除染のために頑張っているという話だが、正直あまり花形だという印象がない。あなたは渉外弁護士で、スタンフォード大学で経営学と科学の修士号までとって、なんで、そんなことをしているのか」という質問を受けました。

花形の仕事がしたい場合、スタンフォードを卒業するときに、以下の思考プロセスをたどると思います。

思考プロセス(日本人・アメリカ人エリート)
   世界を変える前に自分の生活に責任を持たないといけない
   だから、まずは、花形の仕事をして、お金を稼いで、生活に安定を持たせよう
   したがって、投資銀行、コンサル、プライベートエクイティなど、給料が多くて、人が見たときに「いいなぁ」と思われる職種で働こう
   金を稼いだら、好きなことをしよう

これをシリコンバレーでは、deferred life planと言います。ただ、シリコンバレーの場合には、日本人や普通のアメリカ人の上記のような思考プロセスと違い、以下の思考プロセスをたどります。

思考プロセス(シリコンバレーのお金が好きな人)
   自分が本当にしたいのは、XX(例:教育)だが、これは金儲けにならない
   だから、まずは、XX(例:物流・E-Commerce)のスタートアップで金儲けしよう
   金を稼いだら、好きな起業をしよう

かくいう私も、スタンフォードビジネススクールのエッセイを出願するときに、deferred life planをイメージしていました。しかし、金のためではなく、実力をつけるためでした。

「ビジネススクールを卒業しても、運転免許をとったばかりの運転手なのだから、すぐには実力がないだろう。だから、10年くらい本場のアメリカでマネジメントの経験を積んで、その後、それを生かして、日本を復活させるような仕事がしたい」

と思って、実際にも、(このブログの読者はご存知だと思いますが)まずはシリコンバレーで起業して、数億円、当地のベンチャーキャピタリストから投資を受け、そのあとは、福島のために、海千山千のアメリカ人達とマネジメントを経験しました。

私が小学生の頃には、バブルの最盛期で、日本の様子は今と大分異なり、勝利の自信に溢れていました。経済がいいときには、良い職が溢れており、良い職につくということは、いい(従業員)教育を受けるということです。経済が良いということは、世界の中で日本が注目され、日本人が良い経験をする機会に恵まれるということです。こういう日本を復活させるような仕事がしたいとずっと思っていました。

そして、留学をしてから、ほとんど10年が経ちました。

この間、どうしたら日本の経済が復活するのか、ずっと考えてきました。

福島のために仕事をしているときには、ネットワーク効果のことを考えていました。シリコンバレーで次々に新しい産業が生まれるのは、優秀な人(起業家)が優秀な人(投資家)に惹かれるということで正の連鎖が生まれており(ネットワーク効果)、優秀な起業家・投資家ほどシリコンバレーに住みたいと思う、という状況ができたからです。福島にも、人類未曾有の事態に、世界で最も優秀な人が集まる状況をつくれば、福島のためになるとともに、正の連鎖のロールモデルが日本に出来て、これが拡大すれば日本が復活すると思って、外資系で仕事をしました。

今年になって、5年間勤務した会社を辞め、また起業することにしました。

今回は、ネットワーク効果ではなく、ブラックスワンを考えています。

過去20年間、米国のGDPは2.3倍になりましたが、日本は(20年間で)むしろ減りました。同じように、過去20年間で米国の賃金は大きく上がりましたが、日本の賃金はあまり変わっていません。

20年前は、アメリカで年収1000万円もらうのと、日本で年収1000万円もらうのと、生活レベルは余り変わらなかったかもしれません。しかし、今では大変大きな生活レベルの差があると思います。

この差が、このまま続くとすると、今後20年間で(直線ではなく)幾何級数で更に大きな開きが出ることになり、そのうち毎年差が分かるほどの大きな差ができると思います。

ブラックスワンの理論では、上記のように過去の傾向からは将来は予測できず、未来は、むしろ、過去から断絶した突拍子も無い自体で大きく変わるとされています。例えば、第二次世界大戦とか、(核戦争を避けた)キューバ革命のような事態が、将来を決めるのだとします。

今までの経験で、日本初のベンチャーを作っても、世界では、「日本の成功モデルは、世界では通用しない」のが常識なので、シリコンバレーに会社を作りました。でも日本に関連するビジネスです。

ロボットとITAIを合わせた内容で、ブラックスワンを作ることを目指しますが、以下の人を募集しています(報酬のある場合とボランティアの場合があります)。

欲しい人
・日本や世界を変えたい人
・スタンフォードビジネススクールで習うイノベーションのプロセスで勉強したい人
・将来、シリコンバレーで仕事がしたい人
・将来留学したい人

要求スキル
・ボランティアの方については、スキルは問わず、時間とやる気があって、人格の良い方
・ソフトウェアエンジニアの経験があってプログラムが出来る方の場合、実力や得意分野に応じて、報酬をお支払いします
・同じくデザインやビデオの撮影・編集が上手な方の場合、報酬をご相談します

ボランティアではじまっても、よく出来る方は採用につながることがあります。

以下にメールを頂ければ事業などの詳細をご説明します。


そのうちブログでも事業の詳細をかけると良いなと思っています。

2017年9月22日金曜日

どうすれば信念を持った人になれるのか

前回のブログで、信念がないと良いCEOになれないので、スタンフォードMBAの受験では、What Matters Most to Youと質問されると書きました。9月になり、そろそろ多くの受験生が、エッセイを書き始める時期になりました。どうすれば信念を持てるのか、考えてみたいと思います。

1. ケーススタディ:なぜ信念を持つことが重要なのか

先日、とある友達と会った時に、「どうしたら信念のある子を育てられるのか」と質問されました。

アメリカ生まれの子供で、英語がアメリカ人ほど達者でないこともあり、アメリカ人と口論になると負けてしまう、ということで悩まれていました。

子供には、「英語の発音や言い回しじゃなくて、内容なのだ」と自信を持って欲しい、と悩まれていました。

小さなことだと思われるかもしれませんが、これはビジネスでも生活でもとても大事なことで、日常茶飯事から大きな問題まで、様々な局面で直面する問題です。

例えば、アメリカでは給料アップやスターティングサラリーを交渉しますが、交渉する時に、絶対の信念を持って交渉する人と、「自分なんて・・・」と交渉するでは結果が異なります。生涯年収にすると少なくとも何倍も違いが出るでしょう。

あるいは、アメリカでは、アパートを追い出される人がいます。下の階の人が、「足音がうるさい」と言って、天井を突っつくようになって、最後は、大家さんから追い出されます。謙虚な日本人は、まず自分が出て行かなくではと思う人も多いので、日本人駐在員や留学生では実際に出ていかれる方が多いです。こういう時も、下の階の人が、日常の小さな足音が気になっていて、天井が薄いだけかもしれません。自分に信念があれば、どうやって戦おうと考えますので、追い出される可能性は大きく減ります。

上は、日常の例ですが、CEOになると、問題はさらに大きくなります。

会社を売る時に、1000億円のオファーがあった時に、絶対に1300億円は会社の価値はくだらない、と信念を持って交渉できるか。あるいは、交渉せずに、オファーを断れるか。

アンディ・グローブは、DRAMのビジネスから、マイクロプロセッサのビジネスに、大きくビジネスの方向性を変更しました。今までの主流ビジネスから、新しいビジネスに方向転換するのも信念のなせる技です。

2. 信念がないとどうなるか

自分にとって、何が一番大切か、という問題を考えることで、信念がついていきます。

逆に考えたことがない人は、心の路頭に迷ってしまいます。

例えば、何が一番大切かわかっていない人がお金を儲けたとしましょう。

ホームアローンの主人公の男の子の家が、大成功の後に、うまくいかなくなったことはよく知られています。記憶では確か、グレてしまったり、結構大変なことになってしまったのだと思います。

子供だったから・・・と思われるかもしれません。しかし、成功して、お金やタイトルを持つと、もっとお金やタイトル(パワー)を欲するようになること(中毒になること)は、学術論文上、知られています。例えば、スタンフォードビジネススクールの教授のJeffrey PfefferのPowerという教科書にも、このことが記載されています。

どんどんお金やタイトルを追い求める人生は幸せなのでしょうか。

まずはファーストクラスに乗るようになります。いいホテルに泊まって・・・どんどん「上」(お金とタイトルという意味で)を求めて、優秀なら、アメリカのいい会社では、毎年昇給したり、給料がぐんぐん上がっていきます。

気がついたら(もっと悪い例では気がつかずに)、お金と権力を求めている人生になっています。

そして・・・ビジネススクールを卒業して、10年間がたちます。

ある朝、ベッドから起きます。「ビジネススクールにいた時に、毎日湧き出てきた自分のアイディアと夢は、どこに行ってしまったのだろう」と嘆くようになります。

実際に、こういう人は、とても多いのです。ここまで金と権力がくっついて、劣化してしまってから、元(精神面で若く、アイディアと希望に溢れた状態)に戻るのには、もちろん無理ではありませんが、努力が必要でしょう。

3. どうすれば信念が身につくのか

どうすれば信念が身につくのか。

(1)「成功」は与えられるものだという認識
まず、自分の置かれている幸せな状況(日本人で受験を考えるポジションにいるだけで世界の多くの人よりも恵まれています)が、自分が獲得したものだと思わないことでしょう。例えば、親が与えてくれたものは、自分の力で獲得したと言えるのでしょうか。ホームアローンの子が成功したのは、もちろん自分も頑張ったからでしょうが、彼だけの力だと勘違いした瞬間に負の連鎖が始まります。多くの「成功」は、与えられるものです。

(2)おてんとうさまに恥ずかしくないこと
道を踏み外してしまうと、自分を見失います。

(3)お金と権力が一番大切だと思わないこと
上に書いたとおりです。

(4)一度信じたら最後までやり遂げること
多くの信じるものは、目に見えませんので、信じて最後までやり遂げるのは大変です。これは前回のブログの記事の通りです。

(5)何が一番大切なのか理解していること
これがないと多くの場合で目的を持てないので、信じる対象がないことが多いです。ガイドブックにも、どういうものが、what matters most to youになりうるのか、色々と書きましたが、ブログでも次回にでも、もう少し考えて見たいと思います。




2017年9月9日土曜日

Believe in yourself because we believe in you

ビジネススクールに入るには、受ける学校のウェブサイトを徹底的に調べるのが最初のステップの一つになる。色々なやり方の人がいると思うが、私の場合には、隅から隅まで目を通した。

スタンフォードビジネススクールの留学の勉強中に、アドミッションのウェブサイトに、

"Believe in yourself, because we believe in you"

という文言があった。

日本語訳をすると、

「自分の価値を信じなさい。我々はあなたの価値を信じているから」

ということになる。

なぜ、こんなことが書いてあるのだろうか。
意味がわからず、ずっと不思議だった。

今になってみると、こんな意味なのではないかと思う。

大学生の頃には、CEOってかっこいい、と純粋に思っていた。CEOを経験した後、今考えると、とても孤独な職業だと思う。

スタンフォードビジネススクールは、General Managementの学校だ。授業中にも、当時のディーンのガース・サロナーから、「卒業して10年たったら、みんな一度はCEOになって欲しい」という言葉もあった。


CEOは孤独だ。全員が諦めた時に、一人だけ絶対に諦めているところを見せてはいけない。

Hard Thing about Hard Thingsの著者のベン・ホロウィッツは、会社の株価が1株1ドルよりも下がって、取引所から1ドル以上にできなければ、上場廃止にすると言われた時に、株式の合併をすると、「弱く見える」という理由で、株式の合併をせずに、かわりに、大手投資家を説得するという"Hit the Road"をしたそうだ。

起業家の場合も同じだ。全員が「うまくいく」と思うアイディアの場合、「誰かがやったことがある」ので失敗する。多くの人が「失敗する」と思うアイディアで、実は正しいアイディアを選ぶ必要がある。そうすると、色々な人に話して、「それはうまくいかないと思う」と言われることの連続だ。

ペン・コンピュータで有名なGO CORPORATIONを創業したカプランも、ビルゲイツと会った後に、「カプランはCEOの器でない」というメールをマイクロソフト社内に流されていた。

投資家と会って、「いつ本当のCEOを雇うのか」と創業者CEOが聞かれるのは日常だ。

色々な人から批判され、陰口を叩かれ、全員が諦めた時に皆を鼓舞して(それで陰口を叩く人がいたりして)、それでも戦うのがCEOだ。

これに対して、弱いCEOは、「どうせダメだから・・・」「日本は千年の系だから」と言ったりする。正直で良い奴といえば、それまでだが、正直で、会社の状況をありのままに話すことは必要だが、弱いところを見せられない辛い職業なのだからJOB DESCRIPTIONを満たしていない人が多いと思う。

だから、
"BELIEVE IN YOURSELF"
とアドミッションのブログに書いてあったんだろう。

世界中の全員にバカだと思われても、自分とチームを信じて、長く戦い続けられるか。

これが勇気であり、CEOには絶対に必要な能力だと思う。








2017年1月20日金曜日

Yes We can

アメリカは東海岸でちょうど1月20日になった。

いよいよ新しい大統領が誕生する。

オバマについては、色々と批判があった。
・オバマケアのせいで、税金が高くなったし、医療機器のイノベーションが阻害された
・シリアが滅茶苦茶になってしまった
・シェール革命を阻害した
・シカゴの犯罪が悪化した
・ベンガジでアメリカ人が犠牲になった
・上院と下院の決議をとるのではなく、Executive Orderを多用して意思決定を押し通した
などなど。共和党のアメリカ人とご飯を食べに行くと、知識人層であるほど、食事の間、ずっと文句を言っていることも珍しくない。

トランプは、このようなアメリカの人の心をうまくつかんだのだろうというのがアメリカの新聞の論調だ。

ふたをあけてみると、ヒラリーはカリフォルニアで400万票トランプよりも票(Popular Votes)をとり、ニューヨークで170万票トランプよりも票を取得し、全体では、200万票トランプよりも票を取得したが、トランプに負けた。アメリカでは、州を制した候補者が、その州のもっているElectoral Votesをすべてとれるが、カリフォルニアは55票、ニューヨークは29票しかElectoral Votesをもっておらず、全体では538のElectoral Votesがあるので、人口が集中しているカリフォルニアとニューヨークで大勝しても、他の選挙区で負けてしまうと大統領になれない。

「皆オバマに嫌気がさしたから、方向転換でトランプに投票したのだろう。カリフォルニアとニューヨークだけが例外なんだ」というのが多くのアメリカの新聞(特にWSJなど共和党の新聞)の論調だ。


こうやって叩かれているオバマをみると、複雑な気持ちになる。



オバマが大統領になったのは2008年。私がアメリカに来た年だ。

スタンフォードビジネススクールのアプリケーションを書いているときに、「オバマになったらいいね」とアメリカ人のカウンセラー(デバリエ)に言われたのをよく覚えている。

オバマが大統領になった日は、スタンフォードの寮にいた。勝った瞬間に、学校中に学生達の拍手の音が鳴り響き、寮まで聞こえてきた。

新しい時代へのHopeだと思った。
はじめての黒人のアメリカの大統領。若くてカリスマのあるスピーチ。ノーベル平和賞の受賞。
ビジネススクールでは、オバマのようなリーダーシップをとる方法なども習った。
ビジネススクールでつらいとき、クラスメートはオバマのスピーチをきいて、気分を鼓舞していた。
ビジネススクールのコミュニケーションのクラスでは、「スピーチの力がオバマを大統領にした」と習い、スピーチを徹底的に練習した。
ビジネスプランコンペティションの前には、オバマのスピーチを何百回もみて、盛り上げ方、ストーリーのスピーチの入れ方、話し方を真似した。

Yes, We canと何度聞いたことか。

まさにロールモデルであり、理想の体現だった。


理想と現実は違うから、政治の現実がうまくないから、ということで、若い人のロールモデルと希望の象徴をあまり叩いてしまって良いのだろうか。

どんなに叩かれても、どんな現実を前にしても、オバマは自分の理想とPrincipleに忠実だった。




オバマの最後の文章は、下記のように終わっている。

When the arc of progress seems slow, remember: America is not the project of any one person. The single most powerful word in our democracy is the word "We". "We the People" "We shall overcome"

Yes, we can.





トランプが大統領になったのは、Back To The Futureの未来の世界の次の年だ。
昔映画をみていたときには、未来のその頃には車は空を飛べるのだろうか、とか考えていたが、結局、空を飛ばなかった。

トランプは未来の幕を開けられるのだろうか。

私は共和党でも民主党でもないので、良い人なら歓迎だ。

大統領が変わっても、一人では何も変えられないから変化はおきない、という人もいる。

だが、リンカーンやルーズベルトなど、例外もいる。今回は上院と下院の両方の過半数が共和党でもある。

トランプはエクソンモービルのCEOなど超大物を閣僚に起用した。
期待がもてるとともに、あまりの実力、経験と迫力に怖くもある。

エネルギーでも、金融でも大きな変化が起きるのではないだろうか。

オバマケアが新しい制度になって、医療機器のイノベーションの時代がくるのか、Federalのシェール油田が解禁されるのか。石油価格があがってシェール革命に火がつくのか。不動産以外の分野でGDPがもっと伸びるのか。

強いアメリカをつくろうと思ったら、注目するのはそういうところだろうか。

トランプを怖がる人も多い。2015年の秋に、将来を予言しようという話になって、Accidental Super Powerという本を起業家の友達が勧めてくれた。アメリカは大国なので、戦後の同盟国に依存する体制が崩れて、韓国や日本などの同盟国に対する安全保障の関係が崩れ、50年後に世界はカオスに陥る、という予言が書いてある本だ。当時、アメリカ国防省の幹部(Scientific Advisory Boardの議長)に夕食を食べながら、意見を聞いたところ、亀のような目で睨まれて、そういうことはない、と完全に否定されたが、今はどうなのだろうか。


友達の子供は、トランプが勝った日、雨上がり窓の外をみて、綺麗だね、と呟いていた。新しい時代は、どんな時代になるのだろうか。

今よりももっと平和な世界となって欲しい。

協調しあう世の中を、皆でつくれるのだろうか。

何があっても、希望を忘れず、未来を信じ続けたい。

Yes, we can.

2016年10月23日日曜日

Hard Things

Hard Thingsというシリコンバレーでは有名なベン・ホロウィッツ氏が書いた本を読んでいる。もともとネットスケープの幹部で、その後、自分の会社で社長を経験した後、有名なベンチャーキャピタルファンドを創業した。日本語でも出ているようだ(こちらから買える)

濃い内容だが、以下の点が実践的で特に勉強になった。

1.ベン・ホロウィッツが、投資をする際にCEOを評価するときに特にみる3つの点

(1) Does CEO know what to do (right strategy/story, speed and quality of decision)
(2) Can CEO get the company to do what s/he knows
(3) Can CEO Get the desired results against objectives

(1)について、まず、CEOは、ストーリー・戦略を語れないといけない。これは、アマゾンのジェフ・ベゾスが1977年に投資家にあてて出したレターが参考になる。この会社の存在価値はなぜか、というストーリーを明確に語れないと、従業員の士気もあがらないし、投資家や顧客もついてこない。また、(1)について、CEOの意思決定のスピードとクオリティを評価する。

(2)について、リーダーシップのスキル(後記)、正しい人材を正しい場所に配置し、社内で情報が十分に共有される環境をつくり、世界一のチームをつくり、常にチームが世界一かをチェックする能力があるかをチェックする。具体的には、例えば、従業員がミッションに貢献し、仕事を達成する環境をつくっているか、それとも、社内政治ばかりしているか。ネットフリックスが出しreference guide to freedom and responsibility cultureに具体例が書いてある。

(3)について、目標となる数字を示せるか。

 2.リーダーシップの条件
 
ベン・ホロウィッツは、リーダーを3つのカテゴリーに分ける。

スティーブ・ジョブズ型:ビジョンを明確に語ることで人がついてくるタイプ
ビル・キャンプベル型:正しい野心をもっているタイプ
アンディ・グローブ型: 正しいマネジメント能力をもっているタイプ

1番目のタイプについては、例えば、倒産寸前のアップルでも従業員はジョブズのビジョンについていった。

2番目のタイプについて、ビル・キャンプベルというのは、San Francisco 49ersというフットボールのチームを弱小から最強にのしあげた伝説のコーチ。その後、Go CorporationというノートパソコンのかわりにIPADみたいな製品(ただし指ではなくペンを使う)を売ろうという会社のCEOになり、従業員が最高だと感じる会社をつくったが、市場にプロダクトがフィットするタイミングがあわず、世紀の大失敗をする。しかし、Go Corporationに大金を投資した投資家達は、ビル・キャンプベルと色々とビジネスをする。「正しい野心をもっているタイプ」というのは、会社を私物として扱うのではなく、会社のために経営をする人のこと。アメリカでは実は悲しいことに珍しいのだが、これは、ポジションが上がれば上がるほど、人は権力の虜になるからだろう。ベン・ホロウィッツは、これは生まれながらの才能で学べるものではない、と書くが、このスキルをみにつける本は色々と出ており、例えば、Ten Laws of TrustというJoel Petersenというジェット・ブルー社の会長が書いた本には、このタイプになるための方法が色々と書いてある。また別の機会に紹介したいと思う。

3番目のタイプについては、アンディ・グローブは、High Output Managementという有名な本で、正しいマネージャーになる方法を書いており、ベン・ホロウィッツは、このことを言っている。この本については別の機会に紹介したいと思う。




2016年10月20日木曜日

クラスメートで成功した人達

卒業をして5年も経つと、色々と成功する人達が出てくる。

最近卒業生で南カリフォルニアに住んでいるクラスメート(現在はベンチャーキャピタル)とランチをしたときに、「来週はSo-FiのFounderを励ます会に出席するためにシリコンバレーに行くんだ」という。

同級生が立ち上げた会社のSoFi。MBAの留学生に、卒業生がローンを貸し付ける会社としてはじまったと記憶している。例えば、スタンフォードMBAを卒業してローンを返せない人は殆どいない。しかし、例えば、学生ローンの殆どは、どこの学校や専攻であろうが、それほどローンの利率に差が出ず、実際にデフォルトがおきる確率を反映していない・・・そこでこの問題を、解決しよう、というアイディアだったと思う。卒業生は、在学生と仲よくなりたいので、そういうインセンティブもあるという話だったと思う。

在学中は、何百もアイディアが飛び交っている(なので切り捨てないといけない)ので、こんなアイディア、どこにストラテジックインフレクションポイントがあるんだ、と切り捨てて考えていた。

しかし、5年間で彼らの会社の企業価値は、約3500億円。まだ起業した人達が会社を運営しているから、既にシリコンバレーの超成功者の仲間入りだ。

あのときに一緒に起業していればどうなったかなぁ、と思っているクラスメートは何人もいるだろう。まさにコロンブスの卵である。

2016年1月17日日曜日

人生の意味


スタンフォードビジネススクールのセカンドラウンドの出願の締切が過ぎた。サードラウンドで出願する人は稀なので、殆どの残りの受験生は、この秋か来年の1月に受験することになると思う。

 

そこで、難しくて評判の出願エッセイ「What matters most to you and why?」について色々と考えてみたい。

 

合格するには、このエッセイを上手に書けることが必須となる。なぜだろうか。実は、これは学校の戦略の根幹とかかわっている。

 

スタンフォードビジネススクールも、別に教育をボランティアでしているわけではなく、ビジネスなので、当然、お金を儲けようと考えている。ビジネスを教える学校だけに、その考え方はイノベーティブである。すなわち、学校では、成功した卒業生が、「スタンフォードビジネススクールから卒業したから、成功した」と思い、大量(多い人では100億円以上)の寄付をしてくれることで儲けることを期待している。

 

上記の目標を達成するためには、学校としては、以下が必要となる

・将来、卒業した後に、「一部」の学生が大成功する(全員ではない)

・卒業生の高い愛校心

・卒業生が人生にとって一番大切なことが何か分かっていること(最後の点については、難しいと思いますので、後で説明します)

 

一点目についてだが、よく、「シリコンバレーのベンチャーキャピタルは、一握り(10件に1件程度)の、リターンが数十倍以上の投資で儲けている。投資リターンが2、3倍にしかならなかったような投資は、ファンドの成功に寄与していない。この原則が分かっているので、リスクの高い投資をすることも出来る」という議論を聞いたことがあると思うが、これと同じ考え方である。

 

さて、それでは、学校としては、「一部」の卒業生が大成功するために、どのような受験生を合格させれば良いのだろうか。

 

スタンフォードビジネススクールに在学中に、インテルの元CEOのアンディ・グロー授業を取る機会に恵まれた。今では古典となった有名な著書「High Output Management」で、人が大きな結果を出すためには、「能力」と「モチベーション」の二つが必要であると述べている。

 

スタンフォードビジネススクールは、「能力」は、学校で教えられると考えている。最高の先生に高い報酬を払って、来てもらうのだ。カリフォルニアの天気は最高だし、校舎は綺麗。まわりはシリコンバレーで研究材料も豊富なので、教授が「スタンフォード大学に転職したい」と思う動機は高い。そして、学生が先生を採点するシステムを採用することで、良い先生ばかりが学校に残るように工夫している。

 

では、「モチベーション」はどうだろうか。ここで注意する必要があるのが、上記の学校の戦略にそって考えてみると、この場合の「モチベーション」とは、単に「自分の能力や結果を高めたい」という「モチベーション」だけでなく、「リスクをとることを厭わない」モチベーションであることに注意する必要がある。すなわち、学校の戦略は、以下のような仮説を前提としているのである。

 

仮説:

·         受験生をAグループとBグループの二つのプールに分ける

·         AグループとBグループの受験生の能力は、同じと考えられるとする

·         Aグループの各受験生のリスク選好度は、Bグループの各受験生のリスク選好度よりも高いものとする

·         このとき、Aグループの受験生ばかりを合格させた方が、期待収益は、Bグループの受験生ばかりを合格させるよりも、大きい。また、Aグループの全体収益が、結果として大幅に少なくなるリスクは極めて小さい。


上記の仮説は、直観的には、以下のようにその合理性を説明できる。

1.    統計学上の説明:Aグループの各個人がとるリスクについて、そのリスク間の相関関係が低ければ(すなわちAグループの合格者のDiversificationが大きければ)、Aグループから十分な数の合格者を出すことで、統計学上、(分散できるリスクは消滅するので)リスクは最小化される。なお、(実はこの前提はすべての卒業生には成り立たないのだが)卒業生は、リターン(期待収益)にみあわないリスクをとらないことを前提におくことが出来るのであれば、リスク選好度が高いAグループの方が、リスク選好度の低いBグループよりも、期待収益は大きくなる。

2.    教育学上の説明:教育学上、リスクをとる程、学習が進むとされているので、現時点でAグループとBグループの能力が同じでも、10年後にはAグループの能力がBグループの能力に勝っている、という仮説がたてられる(”The fastest way to succeed,” IBM’s Thomas Watson, Sr., once said, “is to double your failure rate.”Richard FarsonRalph Keyesのハーバードビジネスレビューの論文”The Failure-Tolerant Leader”に記載されています)

 

さて、それでは、学校は、「高い能力を取得したい」とか「リスクをとりたい」といった「モチベーションを高める」ことは出来るのだろうか。

 

そもそも、「モチベーション」は、どのように高めるのか。アンディ・グローブの「High Output Management」は、製造工場のアウトプットを高めるための様々なモデルを、製造工場だけではなく、ビジネスに応用することに多言する本である。この本の中では、人の「モチベーション」は、アブラハム・マズローのモデルに従うとしている。そして、著書中に、ハーバードビジネススクールの学生のチャックが、マズローのモデルに従って、どのようにモチベーションが高められたかどうかという説明が加えられている。マズローのモデルでは、モチベーションは、5段階のステップを踏む。1段階目は、Physiologicalであり、衣服や食べ物が得られるかどうかというステップ。2段階目は、Safety/Securityであり、(例えば健康保険を持っているかどうかといった)身の安全を確保できるかどうかというステップ。3段階目は、共通の目的・嗜好・性質をもった人々とのかかわり(Social/Affiliation)。4段階目は、褒められたり認められたりすることによるEsteem/Recognition5段階目は、例えばアスリートやバイオリニストが黙々と練習を繰り返して能力を上昇させるSelf-Actualization。アンディグローブは、Self-Actualizationに到達することで、モチベーションがリミットレスになる、と説明する。そして、ハーバードビジネススクールの学生チャックが、例として、登場する。チャックは、最初、ハーバードビジネススクールの激しい競争の中で、生き残れるかどうかという一段階目Physiologicalにいる。その後、皆が同じ状況にいる気が付き、勉強会のグループをつくり、二段階目Safety/Securityに移行する。そのうち、クラスがグループとしてカルチャーをもつようになり、チャックは、三段階目Social/Affiliationに移行する、というのである。スターウォーズにも登場したハーバードの卒業生のナタリー・ポートマンやハーバードのAmy Cuddy教授も、同じような話を以下のビデオでしているので、おそらく本当にそういう環境なのかもしれない。

 


 

 

さて、ライバル校のハーバードビジネススクールを「工場」と批判するスタンフォードビジネススクールでは、グローブ氏の解釈するマルローのモデルは、第一学期を除いて、成立していない(ただし、これはクラスの中だけの話であり、マルローのモデルを経営のツールとして如何にして使用するかどうかということ「も」教えるクラスはある。Managing and Building Sales Enterpriseという超人気クラスである。このクラスは色々なことを教え、グローブ氏の解釈するマルローのメソッドについては、「各セールス担当者の営業成績は公開することで、各人のモチベーションがあがるので、公開すべきである」と先生が授業中に一言述べるだけであり、別段、マルローのモデルを教えるクラスというわけではない)。スタンフォードビジネススクールでは、第一学期では、ほぼ全員退学しないかどうか必死なので、マルローのモデルが成立する。第二学期以降は、ほぼ全員が退学しないことが分かる。

 

二学期以降は、スタンフォードビジネススクールの学生は、「自分の人生の著者となり意義深い人生を送るためには、どうしたら良いのか」と考え始める。そして、人生の意義というのは、人それぞれが人生の著者として選択するものであり、グローブ氏のいうアウトプットに注力するのは、(工場では大事であっても)人生の生き方としては無駄である、と考えるようになる。グローブ氏のモデルとは異なり、このモデルでは、自分にとって意義深いことをしている時間が、最もモチベーションが高い時間ということになる。モチベーションとは、Fulfillmentによって与えられるものであり、人生は、多様なFulfillmentをもたらす価値観を理解したうえで、それぞれの価値観に費やす時間を、人生の著者としてバランスをとる場である、という考え方となる。ここでは、Fulfillment及び(時間の配分の)バランスが重要となり、これを達成するためのプロセスが重要となる。グローブ氏の解釈するマルローモデルでは、バイオリニストやアスリートが結果(Achievement)を出すことに注力しているのと対照的である。

 

グローブ氏の本に登場するハーバードビジネススクールの学生のチャックと比較するため、スタンフォードビジネススクールのクラスメートのダレンを例に取ろう。ダレンは、米国の非公開企業で最大の企業の会長の長男。在学中に、潰れ掛けの医療器具の会社の社長に就任し、会社の立ち直しに注力することに生きがいを感じるようになる。世間でいう「成功」を度外視したダレンは、ついに、超人気授業について、授業のすべて及び試験までを欠席した。彼は、当然、当該授業で「不可」がつくだろうと予想していたところ、巨大企業の会長の息子なので「不可」がとれなかったと(自分ではなく自分の家が評価されていることが分かったので)嘆いていた。同じような話が、クラスメートのプージャがニューヨークタイムズで紹介された際にも載っていた(こちら)。上記はビジネスの例だが、実は、殆どの学生は、クラスメートとの深いつながりを重視し、Touchy Feelyという他人との感情のやり取りばかりをする授業(授業中に多くの学生が泣いてしまう)が最人気授業である。

 

アンディ・グローブの解釈するマルローモデルの最大の問題点は、人間を、Self-Interestedな存在として捉えている資本主義の価値観にある。ハーバードビジネススクールを「資本主義の士官学校」と呼んだ方がいらっしゃるが、実は、スタンフォードビジネススクールは、資本主義の士官学校ではない。

 

これは、人生で最も大切なものは、Self-Interestだけな人には、手に入らないからである(と少なくとも私は思う)。だから、What matters most to youという質問に、Moneyと回答したら、どんなに上手にエッセイを書いても、合格しないだろう。お金を生み出すだけのロボットはクラスメートにいても学校のカルチャーにフィットしないからである(「どのような組織であっても、カルチャーにフィットする人のみを採用するべきである」と一学期で習った)。

 

シュバイツァーは、以下の名言を残した。「The only really happy people are those who have learned how to serve」(本当に幸せなのは、他の人にどのようにして与えるのか、ということを学んだ人だけである)。他の人に何かをしてあげたとき、幸せ、という感情を享受できる、とシュバイツァーは述べているのである。幸せ、という感情をもっているとき、人は、ロボット(存在しているだけ・空虚)ではなく、本当に生きており、満たされている存在となる。

 

Touchy Feelyが超人気授業なのは、他の人と感情をシェアしている瞬間が、自分が生きている、と実感できる瞬間だからである。もし、ある人に感情がなければ、工場で製品は生み出せても、生きている、と実感できないだろう。このような人生は空虚であり、存在しているだけである。デカプリオ主演の映画のWolf of Wall Streetをみたことがあるだろうか。主人公は、アンディ・グローブの解釈するマルローのレベル5の段階で、突き動かされたように進んでいく。派手な人生だが、空虚である。工場でお金を生み出し、そしてその金を(セレブを呼んだプールパーティなどで)消費するマシーン。どんなに突き動かされたように進んでも、進んでも、決して満たされることはない。

 

Fulfillmentについて、私のエッセイ合格ガイドブック(過去のブログを参照)と別の切り口で説明すると、以下のように考えられるのではないだろうか。

・自分の人生の中心として何をすえるのか。すなわち、何に時間を使い、プライオリティをおくのか。例えば、家族なのか、仕事なのか(クラスなのか、起業なのか)。

・どんな人として生きていきたいのか。(何をするのか、ではなく、どういう人なのか、ということ。具体的には、例えば、正直なのか、約束を守るのか、といったことである。別の例では、Wolf of Wall Streetに出てくるような浪費家なのか、それとも、森鴎外の小説『高瀬舟』に登場する喜助のように「足ることを知っている」のか)

・他の人に何をしてあげたいのか。自分に与えられているもの(才能など)のうち、どれを使って、他の人に貢献するのか。

・他の人とのつながりについて、どのような人とつながっているのか、何をコミットするのか、他の人のために何を犠牲にするのか。なお、スタンフォードビジネススクールでは、他の人との関係について、5段階で考える。一番低い次元は、挨拶するだけの関係。二番目の次元は、それよりも少し長い会話。三番目の次元は、問題の解決や分析に関する会話(仕事の会話など)。四番目の次元は、感情のシェア。一番高い次元は、お互いの関係に関する感情のシェア(例:あなたを大切に思っている、と言及したり、最も仲良くなりたい、と手紙を書く)。詳しくはこちら

 

与えられる側なのか、与える側なのか。マルローのいうRecognitionが欲しい、というのは、与えられる側である。しかし、シュバイツァーが医療を与えるとき、見返りがなければ不幸せだろうか。親が赤ん坊に食べ物を与えるとき、見返りがなければ幸せになれないだろうか。

資本主義・経済学では、「幸せ」でさえ、金銭価値に換算できるので、人間はSelf Interestedだというモデルは成立するとする。すなわち、シュバイツァーが医療を与えるとき、親がミルクを与えるとき、他人が幸せになったのをみて、自分も幸せになる(ここまでの命題は正だろう)から、したがって、そもそも、自分が幸せになるために子供にミルクをあげたのである(この命題の成否は否だと思う)と説明することになる。これは間違っていると思う。シュバイツァーは、そもそも(自分が幸せになりたいという)見返りを求めずに医療を与えるから、だから、幸せになるのである。まずSelf Interestedを否定する境地に至った人が、本当に他人のためにサービスを提供する際の喜びと、自分のことしか考えていない人が他人のためにサービスを提供する際の喜びとは、比較にならないのである。
 

ところで、グローブ氏の例に出てくるバイオリニストや(特に個人競技種目の)アスリートは、仕事において、人生の意義を持てないのか、という疑問が出てくる。それは常識に反する。確かに、子供の音楽家やアスリートには機械のように親やコーチに言われることに従って生きている子供もおり、この子供は、本当に生きているという実感を感じる機会は少ないかもしれない。また、大人の音楽家やアスリートには、お金のために仕事をしている人もおり、やはり、人生の充足を感じる機会は少ないだろう。しかし、音楽家やアスリートには、多く、人生の充足を感じている方がいる。例えば、こちらは顔を見れば明らかだろう。

 





これは、次のように考えられる。上のリストをみてみよう。例えば、「どんな人として生きていきたいのか」という問いに対して、上記のビデオのバイオリニストは、(作曲家に対して)「誠実な」人であろう。また、他人に対する関係という意味では、第二次世界大戦中に、ナチスの進行による空襲警報中に、観客に対するコミットメントを果たすために、演奏をし続けたバイオリニストの話が残っている。

 

さて、このようにして一生懸命自分の人生の意義について考え、自分の人生の著者になった人は、それに従って生きていくことこそが、「成功」だと思うようになる。世間(materialistic world)がいうお金が成功だとは思わないので、お金を損するかもしれないようなリスクをとることが出来るようになる。(そして、人生の意義は人それぞれなので、学校のポートフォリオとしてみると、卒業生がそれぞれとるリスクの間の相関関係が低くなり、卒業生個人個人に特有の分散可能なリスクが消滅する可能性が高くなる)
 

さて、この投稿の一番はじめのところで、スタンフォードビジネススクールの「成功者から寄付を集める」というビジネスモデルが成立するためには、合格者が、「何が自分にとって一番大切か、深く考えている必要がある」と述べた。そして、その理由を後で説明すると述べた。

 

Wolf of Wall Streetの主人公を思い出して欲しい。大金持ちでも、自分の人生の意義が分かっていないので、いつも満たされていない。満たされないので、更に金に走る。こういう人は、寄付をせず、自分のために金を使う。

 

何が自分にとって一番大切なのか、深く考えた人は、他の人に与えることで喜びを受けられると分かっている人である。次の世代のために寄付をし、皆から尊敬され、感謝されるだろう。

 

スタンフォードビジネススクールでは、戦略は、目的とそれを達成するための方法が、Congruent(有機的に結合していること)でないならないと習う。一部の成功者から多額の寄付を集めるという目的。寄付金で優秀な教授を集め、最高の授業の提供を目指す。自分の人生の意義を分かっている人を合格させ、(人生の意義が分かっている人はモチベーションが高く、金銭面でのリスクを取ることを厭わないので)リスクをとるようにチャレンジ精神の空気を吸わせる(空気を吸わせるには、周りの人がチャレンジしていれば良い)。本当に人生の意義を考えた人は、与えることの喜びを知っているので、寄付を厭わない。そして、寄付だけではなく、上記の戦略の結果として、多数の本当に幸せな卒業生を輩出するのであれば、それはそれは素晴らしいことであろう。
 

なぜ、What matters most to you?のエッセイが合格に必要か、エッセイを書く際に何を考えるべきか、お分かりになられただろうか。